タジミ・風流旅館
車窓から見る景色にすっかり溶け込んで

山の斜面にへばり付くように建っている

その旅館に気づく人はどのくらいいるんだろう?

あまりにも年月を経たその旅館跡は

その土地の人には目に入っても見過ごすほど

どうでもよいほどにオンボロに風化していた

その規模には不似合いな大浴場が

そこにあったと記憶している人は

どのくらいいるのだろう?

遮る壁がほとんど崩壊し

日当たりと風通しの良いそこは

まさに風流旅館といった具合だ

長く荒々しい侵入者もなく

ただゆっくり崩壊していく

今は日の光だけが泊まり客だ

2004年10月探訪

2006年9月17日初出

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