サンヒルズー廃墟趣味創世記:1
date:2002.5.18
ここに訪れたのはもう5年も前になる。

当時ちょっとした廃墟本出版ブームが巻き起こるのだが、そのちょっと前。「廃墟が好き」なんて声に出すのも憚られるような…そんな趣味もネットの世界では繋がる繋がる…この時の興奮は今でも忘れられない。ネットの掲示板で気が合い、夜な夜なチャットで廃墟の話題で盛り上がり、オフ会で知り合った廃墟仲間のうちの廃墟の達人に誘われて本格的廃墟潜入の第一歩を迎えたのだった。

その日集ったのは廃墟の達人2名と廃墟初潜入の女子2名。今なら集団自殺に見間違われそうな年齢も職業もバラバラな4人組。

初めて潜入したのはS湖畔にあるホテルの廃墟。

心霊スポットとしても有名な曰く付きの廃墟だが、そんな噂も昼間に訪れれば気にならない。むしろ近所の目の方が恐いのだ。当時廃墟に入るなんて悪のり大学生の夏休みの肝試しかヤンキーの集会か犯罪のニホヒのするヒト。中でドンチャン騒ぎをしたり挙げ句には放火騒ぎも絶えず、この廃業ホテルもいつしか廃墟として熟成されてしまった。その中で廃墟マニアはただ大人しく廃れた風景にウットリし写真を撮るだけなのだが…

1階のロビーは火災で原型を留めていなかった。

熱で歪んだ窓枠から光が差し込み

水たまりが鏡となって外界の新緑を移し込む。

5月の爽やかな風が吹き渡り一瞬あたりの焦げ臭さを忘れる。

破壊しつくされた部屋に置き去りにされたアルバム。

こんな謎のアイテムに心躍らせるのも廃墟見学の醍醐味。

廃墟に散らばるガラスも宝石に見える(嘘)。

屋上で風に吹かれると廃墟にいることを忘れてしまう。

しかしその看板にかつての輝きはない。

地下の駐車場にはどこからか不法投棄されたファミレスの椅子が山積みになって砦を作っていた。

美は廃墟にも宿る。

そんな景色に思いを残しつつ一行は次の廃墟へ向かうのだった。

コマガリエンー廃墟趣味創世記:2へ続く

2002.5.18初出

2007.10.23大幅再編集

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