オクタマ・ロープウェイ 廃墟趣味創世記:3
date:2002.5.18
小曲園に続いて訪れたのが廃線になった奥多摩湖のロープウェイ跡。正式名称は河野ロープウェイと言うそうだ。あの頃は調べるのも面倒くさかった建物(廃墟)に関するデータも今だとウィキペディアで出てきたりする。世の中変わったものだ。

「廃線巡り」となるとなんだか健康的に聞こえるが「廃墟巡り」と言うと悪趣味で犯罪のニホヒが付きまとう。ロープウェイの手前はゲートボール場になっており、とてもオープンな場所で今思い返せばコソコソすることもないのに「廃墟目当て」という後ろめたい気持ちからか少々ドキドキしながら近づいた。

駅は廃墟特有の閉塞感が無いためか思ったより荒らされておらず、始発待ちの早朝の駅のホームのように気持ちよい。
東京都内だというのに都市の喧騒から離れて

赤いボディとトボけた表情が可愛い「くもとり号君」は

山の中腹でひっそりと待機している。

駅舎内を散策すると大きなモーターや歯車が薄暗がりの中妖しく美しく浮かび上がっていた。なんとかその美しさを捉えたくてカメラを向けるものの暗すぎて何にも写ってなかった。

この頃はどんな隙間でも出入り出来て危険からも逃走可能のよう、とにかく身軽にと、ポケットに入りレンズもプラスティックでモニターも付いてない超軽量120万画素のオモチャのデジカメを使用していた。

今ならコンパクトデジカメでも1000万画素の時代だ。たった5.6年で目覚ましい進歩である。それに比べて人類は5年で視力が10.0になったりはしないから不思議だ。

くもとり号の内部に抱かれてみる。グラグラ具合が意外と心地よい。
駅舎に芽吹いた木々も今頃どれくらい育ったのだろうか?
かわの駅を堪能した後は対の駅「みとうさんぐち」に向かった。

駅舎ギリギリまで車で入れる「かわの駅」と違って、こちらは急な山の斜面を登らないと辿り着けない「秘境の駅」というイメージである。

鬱蒼と茂った緑のベールに包まれた駅はまるで「かわの駅」の10年後の姿のようだった。
あの頃は緑の冠を称えた車両に世界の終わりの夢を見ていた。

今では廃墟に芽吹く緑に再生の悦びを感じる。

2002.5.18初出

2007.10.26大幅再編集

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